女性の抜け毛は病気の前兆かも?病気の種類と対策方法を解説

掲載日:2020.03.12 更新日:2020.10.14

この記事の監修 アンファー株式会社

人の髪の毛は1日に平均して100本ほど抜けます。そのため抜け毛が多いと思っても、ほとんどの場合は自然なこと。しかし、ある日から突然抜け毛の本数が増えたり、特定の場所のみが抜けたりするのであれば、病気のサインかもしれません。

そこで今回は抜け毛によって考えられる病気と、女性が発症しやすい6つの脱毛症について解説します。もし、最近抜け毛が増えたと感じるのなら病気が潜んでいる可能性がありますチェックしてみて病気が疑われるのであれば、医師の診察を受けてください。

通常の抜け毛と病気による抜け毛の違い

髪の毛は通常でも1日に100本近く抜けるので、なかなか通常の抜け毛なのか、病気による抜け毛なのか見分けが付きにくいですよね。

通常の抜け毛と病気による抜け毛の見分け方として、抜ける本数の増減があげられます。突然、今まで以上に髪が抜けるようになった場合は要注意です。また本数は通常の範囲内でも、1箇所だけなど集中的に抜ける場所があれば、それも危険なサインです。

抜けた髪の毛の様子も見てみましょう。抜けた髪の毛の太さが揃っていて、根元にふくらみがあるのであれば、それは普通の抜け毛です。しかし、抜けた毛の太さがバラバラであったり、根元にふくらみがなくやせているようであれば、病気による抜け毛の可能性が高くなります。

髪が抜ける原因

髪が抜ける原因には一般的には下記のようなものがあります。

  • 女性ホルモンの影響
  • 過度なダイエット
  • ストレス
  • 季節性
  • スタイリング

女性ホルモンの影響

出産や加齢などが原因で女性ホルモンのバランスが乱れると、抜け毛を起こすことがあります。女性ホルモンはヘアサイクルの進行を緩やかにして、髪を抜けにくくする作用がありますが、体内にある女性ホルモン量のピークは20代後半です。それ以降は歳を重ねるごとに女性ホルモンが減り、髪が抜けやすい状態となってしまうのです。

また、出産後に起こる抜け毛は、妊娠中に活発になった女性ホルモンの分泌が通常に戻ることで起こります。一般的には、産後半年程度で自然と治まるでしょう。

過度なダイエット

食事制限や、ある特定の栄養素ばかりを摂取するような過度なダイエットを行うと、髪に必要な栄養が摂れず抜け毛に繋がる恐れがあります。
健康な髪を作るために必要な栄養素は、タンパク質、ミネラルそしてビタミンです。バランスよくこれらの栄養を摂れるよう、食生活に注意するとよいでしょう。

ストレス

ストレスを感じると自律神経のバランスが狂って血管を収縮させ、血流が悪化します。栄養は血液によって体のさまざまな器官に届けられますが、血行が悪くなると頭皮や髪に必要な栄養を届けることができなくなります。それによって健康な髪の毛を作ることができず、抜け毛が発生してしまうこともあります。食事から摂った栄養が届けられるよう、ストレスを解消するようにしましょう。

季節性

季節によって抜け毛が増えることがあります。特に夏から秋への変わり目は、成長期の髪が減り休止期に入ることが多く、髪の毛が抜けやすくなる傾向です。
また、夏の間に紫外線を受けることで頭皮がダメージを受け、抜け毛が増えることもあります。その時期に特にダメージを感じていなくても、蓄積することで秋に入り抜け毛が発生することもあるでしょう。

スタイリング

髪をセットする際に使うスタイリング剤は適量を使えば問題はありませんが、過剰な量を使い続けたり、夜つけたまま寝てしまったりすると頭皮に負担をかけてしまいます。パッケージに記載されている量を守り、正しく使うようにしましょう。
また、寝る前には洗髪をしてスタイリング剤を洗い流すことも大切です。スタイリング剤がついたままでいると、ヘアサイクルに影響を与える恐れがあります。

抜け毛は病気の前兆?疑われる6つの病気

抜け毛が前兆となる病気はいくつかあります。中には早急に医師の診察を受ける必要がある場合もあるので、少しでも抜け毛に違和感があれば医師に相談しましょう。

ここでは抜け毛が多いと考えられる6つの病気について解説します。

脱毛症

抜け毛が前兆として現れる病気として、まず考えられるのは「脱毛症」です。
脱毛症はその名前が表すように、毛が抜け落る病気のこと。ここでいう毛とは髪の毛以外にも、他の体毛を指す場合もあります。
通常の自然な抜け毛との見分け方としては、抜け毛の量が多い、特定の場所ばかり抜ける、抜けた毛が痩せているという点が挙げられます。脱毛症は細かく分類がわかれ、原因も様々です。

【女性の脱毛症の例】

  • 女性の男性型脱毛症(FAGA)
  • びまん性脱毛症
  • 産後脱毛
  • 牽引性(けんいんせい)脱毛

女性の男性型脱毛症は女性ホルモンが減少し、男性ホルモンの影響が大きくなることで、AGAと同様の仕組みで薄毛が発生します。
びまん性脱毛症は、女性に多くみられる脱毛症です。加齢からくる女性ホルモンの減少や老化、ストレスや栄養不足などが原因で起こります。

また、出産後に起こる脱毛として産後脱毛があります。これは妊娠中にエストロゲンが多く分泌されることで抜けにくい状態になるためです。分娩後、エストロゲンが通常に戻り減少すると、妊娠中に抜けるはずの髪が一気に抜け、抜け毛が一時的に増えることがあります。

また、牽引性脱毛はポニーテールなど髪を引っ張るヘアスタイルをすることで、毛包に炎症が起こり抜け毛を引き起こす可能性もあります。

皮膚疾患

抜け毛の量が多い場合は、皮膚疾患の可能性もあります。これは頭皮に何らかのトラブルが起きていることが原因です。たとえば「脂漏性皮膚炎」が考えられます。

脂漏性皮膚になると皮脂が過剰に分泌され、マラセチア菌が増加することで頭皮が弱ってしまい、結果髪が抜けてしまうこともあります。治療では、抗真菌薬やステロイドが含まれた塗り薬を使うのが一般的です。自宅でできるケアのひとつとしては、正しいシャンプー方法やドライを行うことが挙げられます。

肝臓疾患

肝臓は髪の毛の元となる血漿(けっしょう)タンパク質を作りだす臓器なので、肝臓に疾患があると抜け毛が増える可能性があります。肝臓が弱ってしまうと、血漿タンパク質の生成量が少なくなり、健康な髪が作られにくくなってしまいます。その結果として弱い髪しか生えなくなってしまい、抜け毛が増えるのです。

また肝臓が弱ると、身体は優先して肝臓を修復しようとします。人が生きる上で、髪の毛と肝臓どちらが大切かと言えば、肝臓ですよね。髪の毛はなくても生命的に支障はないからです。
そのため、本来なら髪にも回る栄養を、肝臓に送ってしまうので、肝臓が弱る前に生えていた丈夫な髪も、抜けやすくなってしまうのです。

甲状腺疾患

抜け毛の増加によって考えられる病気は様々ですが、女性の場合、多いのが甲状腺の疾患です。甲状腺とは首あたりにある小さな器官ですが、身体に与える影響は大きく、甲状腺で作られる甲状腺ホルモンは新陳代謝を促進させて、エネルギーを作りだしたり、皮膚や髪の成長を促したりする効果があります。
この甲状腺に何らかの理由で障害が起こり、甲状腺ホルモンの分泌量が減ってしまうと、髪の成長が悪くなり抜けやすくなってしまうのです。

甲状腺は男女共に存在する器官ですが、甲状腺疾患は女性の方が圧倒的に発症率が高いことが特徴です。原因は残念ながらはっきりしていませんが、甲状腺疾患の症状として、抜け毛の増加以外に倦怠感・寒気・むくみ・肌が乾燥する・眠気・便秘・声が低くなるなどがあります。

このような症状がいくつか現れるのであれば、甲状腺疾患の可能性があり、甲状腺ホルモン剤を投与する治療で改善が期待されるので、病院で診察を受けましょう。

自己免疫疾患

私たちの身体には、体内に病気のウイルスなどが入り込んだとき、それらを撃退してくれる、免疫という力が備わっています。しかしストレスなどによって免疫に異常が起こると、自身の細胞や組織をウイルスなどの敵だと勘違いし、破壊してしまいます。

この現象を自己免疫疾患と呼び、症状としては抜け毛の増加や微熱が続く、関節の痛みなどが発生します。自己免疫疾患による脱毛は、ひどければほとんどの髪が抜け落ちてしまいます。

自己免疫疾患から起こる脱毛として、円形脱毛症が挙げられます。頭髪の一部が円形や楕円型に脱毛することで知られますが、それらの脱毛が一ヶ所ではなく複数ヶ所に及ぶ「多発型」と呼ばれるタイプもあります。さらに後頭部から側頭部の生え際が帯状に脱毛するタイプや頭髪や全身すべてが脱毛してしまうタイプもあります。

抜け毛で病気が心配な時は何科に行くべき?

急激に抜け毛が増加した場合、何らかの病気にかかってしまっている心配があります。この場合は「皮膚科」「内科・婦人科」での受診が最適です。ここではそれぞれの科を受診するべきケースを解説します。

皮膚科へ行くべきケース

頭のとある部分だけ脱毛が激しい、脱毛に加えて頭皮がかゆいなど、頭皮に問題があると感じた場合は皮膚科で診察を受けましょう。
皮膚科の中には脱毛外来がある場合もあるので、できればそのような専門機関がある病院で診察を受けるのが望ましいです。

内科・婦人科へ行くべきケース

脱毛に加えて、微熱が続く、倦怠感があるなど、頭髪に関わる以外の身体の部分に不調が現れている場合は、糖尿病や肝臓疾患、甲状腺疾患などの可能性があります。このような場合は内科、もしくは婦人科を受診するべきです。
病院ではどのような病気の可能性があるかを詳しく調べられるよう、些細なことでも報告するようにしましょう。

抜け毛は生活習慣の改善で良くなる可能性あり!抜け毛に効果的な対策

抜け毛にはさまざまな病気の可能性が隠れていますが、中にはストレスやシャンプーの仕方など、生活習慣が元になってしまっている場合もあります。

内臓の悪化などが原因の場合は病院で薬を処方してもらう等の対策が必要ですが、頭皮だけに問題がある場合は自分でできるケアでも改善の可能性があります。ここでは、抜け毛に効果的な対策をご紹介します。

頭皮をマッサージして血行を改善する

頭皮を指でじんわりと押したり、優しく揉む「頭皮マッサージ」は、頭皮の血行不良を改善する効果があります。頭皮の血行を良くすることで、髪に栄養が行き渡るようになり、抜けにくい丈夫な髪が育ちます。

正しいヘアケアで頭皮と髪を健康に整える

正しいヘアケアとは、頭皮や髪にダメージを与えないようにすること。髪を洗うときに、爪を立てたり強い力で洗い過ぎたりしないようにしましょう。また、シャンプーやコンディショナーはしっかり流してすすぎ残しがないようにしましょう。

頭皮にダメージを与えたり、シャンプーなどのすすぎ残しがあったりすると抜け毛の原因になるので、そこを改善すれば抜け毛を減らすことができます。

タンパク質、ビタミン、ミネラルのバランスの取れた食生活を心がける

タンパク質、ビタミン、ミネラルは健康な髪作りに欠かせない栄養素です。これらをバランスよく摂ることで、抜けにくい健康な髪を育てることができます。
また、過度なダイエットは髪に栄養が回らなくなってしまうので、要注意です。運動を取り入れたダイエットをおすすめします。

【髪や頭皮に良い食べ物】

  • 肉類
  • 大豆製品
  • 緑黄色野菜
  • 赤身肉
  • 牡蠣
など

肉類や大豆製品、卵には、髪の主成分であるケラチンを生成するのに欠かせないタンパク質が含まれています。卵や緑黄色野菜にはビタミンが含まれており、頭皮の新陳代謝や健康な髪の成長をサポートしてくれるでしょう。
また、赤身肉や牡蠣にはミネラルの一つである亜鉛が含まれています。亜鉛はタンパク質の再合成に必要となるので、髪のために摂るようにしましょう。

規則正しい生活を心がける

睡眠は髪の成長にとても大切です。きちんとした時間に寝る、十分な睡眠時間を取ることで、髪の成長に関わる成長ホルモンが分泌され、強く健康な髪が育つのです。睡眠時間はしっかり確保しましょう。質のいい睡眠のためには、寝る前にスマートフォンなどを使用しない、ぬるめの湯に浸かる、またマットレスや枕を自分にあったものにするなど睡眠環境を整えましょう。

抜け毛にはさまざまな原因がある!ひどい場合は病院に行きましょう

抜け毛には様々な病気が隠れている可能性があります。通常の抜け毛か、病気による抜け毛かを確かめるには、髪の抜ける本数、本数の上下、抜けた髪の様子を見てみましょう。最近、急激に髪の抜ける量が増えたり、1日に100本以上抜けたり、抜けた毛が細く弱々しかったりするのであれば、病気による抜け毛の可能性があります。

抜け毛のほかに体調不良がある場合は内科もしくは婦人科へ、頭皮にトラブルがあると感じたら皮膚科で診察を受けてください。

病気以外の理由による抜け毛は、頭皮のケアで改善できる可能性があります。正しい洗髪方法を心がけ、健康な頭皮と髪を育てて抜け毛を防ぎ、改善しましょう。

この記事の監修 アンファー株式会社

○事業内容
化粧品・サプリメント・健康食品・専門医師監修によるクリニック専売品などのオリジナルエイジングケアプロダクツの研究開発及び製造・販売・卸業務。

○研究開発・製造
エイジングケア分野のNPO法人・研究団体の活動を支援するとともに、専門医師・大学機関との共同研究を通じ、研究・開発を進め商品を製造。